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近いものを見ようとすると、毛様体筋が緊張して縮み、チン小帯が緩むため、水晶体はその弾性によって厚くなり、その結果屈折力が強くなって近くのものに焦点が合うようになってきます。
この瞬時にして焦点を合わせる人の目の「オートフォーカス」機能を、目の「調節力」というわけです。
この調節力は年齢とともに変化していきます。
若いときには高かった調節力も中年を過ぎると弱くなり、手元や近くの文字に焦点がなかなか合わなくなってきます。
これが「老眼」です。
加齢とともに誰にでも起きることなのです。
その一方で、年齢に関係なく毛様体筋の調節がうまくいかなくなることもあります。
近いところばかり見ていると、毛様体筋の緊張がなかなか解けなくなり、最初は軽い「仮性近視」だったものがやがて中度、重度の「真性近視」になってしまう、という典型的なパターンはこれにあてはまります。
角膜はレンズの役目を果たしているわけですから、水晶体と同様、常に透明でなくてはなりません。
しかし何らかの原因でレンズが濁る場合があります。
白内障(別名「白そこひ」)は、お年寄りによく見られる水晶体のトラブルです。
現在、白内障が進行して視力障害を起こしてしまった場合の治療として、水晶体を摘出して眼内レンズを挿入する方法が普及しています。
アメリカでは、年間15 0万人もの人がこの方法で視力を取り戻しているといわれています。
アメリカでその安全性が確認されたのを受けて、日本でもこの眼内レンズを入れる手術を受ける人が着実に増加しています。
⑨脈絡膜眼球の奥にあり、私たちにはふつう見えません。
強膜と網膜との間にある、血管とメラニン色素に非常に富んだ組織で、その最大の役目は眼球内に栄養を補給すること。
脈絡膜のもう1 つの仕事は、眼球内を暗室のように暗く保つことです。
いわば暗幕のようなものと考えればいいでしょう。
眼球内を暗くすることで、外界からの光に対して、網膜が効率よく機能できるようにしているわけです。
眼球内部は、たとえてみれば映画館のようなものです。
明るいまま映画を上映しても映像ははっきりしません。
しかし暗幕を閉め、電気を消して室内を暗くすると、スクリーンに映し出される映像もシャープできれいなものになります。
私たちの目にも同じ原理が働いているのです。
なお、前出の毛様体、虹彩とこの脈絡膜の3 つを合わせて「ぶどう膜」ともいいます。
血管の多いこれらの組織が、色の濃いぶどうの皮のような真っ赤な色をしているため、この名称になったといいます。
⑩硝子体眼球の中心部を満たしている組織で、無色透明、ドロドロとしたゲル状のコラl ゲン・タンパク質です。
卵白に似たようなものと考えればいいでしょう。
硝子体の役目は2 つ。
眼球の形状を保つことと、瞳孔から眼球に入ってきた光を網膜まで到達させることです。
そのため、角膜や水晶体と同じように、常に高い透明度を保っていなければなりません。
硝子体に何らかのトラブルが発生すると、当然のこととして視力障害が起きます。
たとえば「飛蚊症」、伺らかの理由で硝子体に混濁が見られるようになる病気ですが、発症すると明るい場所や白い紙を見たときに、黒い小さなゴミのような点がチラチラ見え隠れするようになります。
⑪網膜眼球のいちばん奥||眼底に広がる「内膜」で、カメラにたとえればフィルムに相当する組織です。
網膜にはおびただしい数の血管が走っているため、眼底検査等で見てみると真っ赤な血の色に染まっているように見えますが、これは外界からの光をキャッチする視神経組織に酸素や栄養を供給するためのもの。
視神経を維持するには、脳の組織を維持するのと同じように、常に豊富な酸素と栄養分の補給が必要なのです。
しかしその網膜に、1か所だけ血管がまったく通っていない場所があります。
「網膜黄斑部」と呼ばれるところです。
その名の通り黄色をしており、直径はわずか1 ・5ミリ。
そしてその中央にある「中心富」と呼ばれるくぼみに、人がものを見て認識するための視神経組織が集まっています。
なお、中心寓より約3 ミリ鼻側にいったところに「視神経乳頭」があり、視神経はここから目の外、脳へと導かれていきますが、網膜で唯一、光を感じない部分でもあるため、「盲点」とも呼ばれています。
この網膜貰斑部、そして中心嵩は、レンズの役目を果たしている角膜や水晶体の真後ろに位置しています。
そして外界からの光は、この中心富に焦点が合うように角膜等のレンズで調節されます。
つまりこの1点に焦点が合ってはじめて、きちんとした像|| つまりピントの合った鮮明な像が結ばれ、それを視神経が感知して脳によって認識される、というわけです。
網膜を構成する組織のなかで、光を感知するのが、錐状体(すいじようたい) と粁状体(かんじようたい) の2種類の視細胞です。
同じ視細胞ですが、それぞれまったく異なった役割を分担しています。
まず錐状体、こちらは昼間の明るい場所で光と色彩の両方を感じ取ることができる視細胞です。
光が十分にある状態で活躍する細胞ですので、感度||光感受性はあまりいいとはいえません。
しかし、微妙な色彩まで感知することができます。
カメラ用のフィルムでもASA の数値が低いものほど粒子が細かく、細部まではっきりと映し取ることができますが、その分、感度が弱く、光量が少ない場所では使えない、というのと同じことと思っていただければいいと思います。
錐状体は、網膜黄斑部の中心富部に密集しています。
そのため、昼間の明るい聞は瞳孔を小さく絞り込んで、目に入ってくる光の刺激をできるだけこの中心富部に集中させようとするわけです。
錐状体の数は、片方の目だけで実に約60 0万個あります。
それに対して粁状体は、わずかな光でも感知できるように、光感受性が非常に高い視細胞です。
中心嵩部にはほとんど見られず、それ以外の網膜に広く分布しています。
その数は片方の目だけで約1億個、といわれています。
人は暗いところにいると瞳孔をできるだけ聞いてわずかな光を取り込み、網膜の広い範囲を使ってその刺激を感知しようとします。
おかげで暗い場所でも、かなり広い視野を保つことができ、比較的はっきりとものをとらえることができるわけです。
ちなみに暗い場所では、微妙な色彩などはあまりよくわかりません。
これは粁状体が主に光を感知する神経細胞だからです。
ところで、光あふれる屋外から急に暗い場所に移動すると、しばらくは何も見えませんが、やがて目が暗さになれて周囲の状況がはっきり見えるようになる、という経験を誰でもお持ちだと思います。
これは、錐状体を使っている状態から粁状体を使う状態への移行に時間がかかるために起こることです。
錐状体から粁状体への移行、つまり、明るいところから暗い場所に急に移動した場合|| これを専門用語では「陪順応」といいますがl1目が暗さになれるまでには、却分はかかるといわれています。
その反対に、暗いところから急に明るい場所に移動した場合は、もっと短時間できちんと見えるようになります。
これを「明順応」といいますが、こちらは5分もあれば十分です。
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